専門医療・TOPICS
日本は世界に誇る長寿国、今や人生100年時代と言われ、歳をとっても病気にならず、健康で生活できることが重要です。健康とは充実した人生をおくるための手段であり、要介護になることは人生の質を低下させる大きな要因の一つです。
要介護になる主な原因として脳血管・心血管・運動器障害などが挙げられます。脳血管・心血管・運動器障害が発生した際、約半数の患者さまは3年以上の長期間にわたり介助が必要になってくると言われています。運動器障害のために移動機能の低下をきたした状態がロコモティブシンドローム(ロコモ)です。
“がん”は日本人の死因第一位で、近年は“がん”自体や治療によって移動機能が低下した状態 (がんロコモ)が問題になって来ています。
がんによる運動器障害(骨転移)、治療による運動器障害、がんと併存する運動器疾患の進行、に分けられます。
がんによる運動器障害
がんで骨が弱くなっていると、軽微な力でも骨が折れてしまうことがあります。男性では肺がんや前立腺がん、女性は乳がん、肺がん等が骨転移を起こすことが多く、中高齢者に発生頻度が高くなっています。骨転移の発生好発部位は脊椎、骨盤、大腿骨などで、病的骨折や神経麻痺によってロコモが発生するリスクが高くなります。骨転移は末期がんではなく、生活の質を落とさずに動けるようにすることが重要です。そのため、骨折を起こす前に薬物療法や放射線療法を行い、がんロコモにならないようにしていきます。
がん治療による運動器障害
がんの治療によって、骨や関節、神経に障害が出ることもあります。1日寝たきりでいると筋力は2%、2週間寝ていれば約30%低下します。安静により落ちた体力を回復するのには数倍の期間を要するため、がんリハビリテーションを始めていく必要があります。
抗がん剤により末梢神経障害がおこることがあります。手足がピリピリ痺れ、物がつかみにくく、歩きずらくなり、転倒してしまうことがあります。そのため、神経障害に対する治療が必要になってきます。さらに、がん治療に用いられる薬により骨粗鬆症が発生することもあります。
前立腺がんや乳がんの治療に用いられるホルモン療法、がん治療や吐き気止めに使われるステロイド薬の大量投与を行っている際は、骨粗鬆症の治療も並行して行う必要があります。
がん治療による運動器障害
膝痛や腰痛、加齢に伴う骨粗鬆症などの運動器疾患もロコモの原因になるため、予防しないといけません。ただし、中高齢者では、がんからくる症状の可能性があるので注意が必要です。また、骨転移・病的骨折が契機に、がんが見つかることも稀ではありません。
症例紹介
ここでは、骨折や痛みでの受診を機に、それら症状の原因が、がんの骨転移であること判明し、そこからがんの原発部位の発見に至った症例を紹介します。
症例1
・80代女性
大腿骨頚部病的骨折で来院。脊椎、骨盤、右大腿骨へのがんの多発骨転移と診断。
検査を進めて乳がんを発見。

症例2
・70代男性
大腿骨頚部病的骨折で来院。左大腿骨へのがんの骨転移と診断。
検査を進めて肺がんを発見。

症例3
・50代女性
1カ月前から腰痛を訴えクリニック受診を経て、脊柱管狭窄症の診断で紹介受診。
検査を進めて骨転移で悪性リンパ腫を発見。



























































