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脳血管内治療/ハイブリッド手術室

医療技術の進歩は目覚ましく、手術に伴う身体的負担の軽減が期待できる治療も増えてきました。その一つに、脳動脈瘤や脳梗塞、脳動静脈奇形などの頭蓋内や頚部の血管に生じる病気の治療で活用されている脳血管内治療があります。

鎌ケ谷総合病院では、2021年4月に兵頭明夫医師(獨協医科大学埼玉医療センター特任教授兼血管内治療センター長、獨協医科大学埼玉医療センター院長、日本脳神経血管内治療学会理事長など歴任)を脳血管内治療センター長に迎え、同年9月には脳血管内治療の要となるハイブリッド手術室を開設し、脳血管内治療を開始しました。

脳血管内治療はいわゆる「切らない治療」と呼ばれる治療です。代表的なものとしては、脳梗塞に対して患部の血管までカテーテルを誘導して血栓を回収する治療や、脆くなった血管壁が風船のように膨らんでしまう「脳動脈瘤」に対して、足の付け根の動脈から脳動脈瘤までカテーテルを通し、瘤内にプラチナ製のコイルを詰め込んで血流を遮断することで膨らんだ血管の破裂を防ぐ「コイル塞栓術」などがあります。
また、コイル塞栓術や外科手術が困難な一部の脳動脈瘤に対しては、密に編み込まれた特殊なメッシュ状の筒を患部に留置する「フローダイバーターステント治療」も行われるようになりました。

前者はまさに救急救命のために行う治療ですが、後者は「予防的治療」としての側面もあります。例えば先に例として挙げた脳動脈瘤の治療においては、脳動脈瘤が破裂して死亡や後遺症リスクの高いくも膜下出血に移行させないために治療行います。

また、既にくも膜下出血を起こしている場合においては再出血を防ぐために治療を行います。実は脳神経血管内治療のメインとなるのはこれらの予防的治療で、当院においても脳動脈瘤や脳動静脈奇形(AVM)、硬膜動静脈瘻などの脳血管疾患で活用しています。

脳血管内治療の主な対象

下記の脳疾患を主に脳血管内治療を行っておりますので、検診や人間ドックで要治療とされた方、他院からの紹介受診をご希望の方はお気軽にご受診下さい。

  • 脳梗塞
  • 脳動脈瘤
  • 頸動脈狭窄
  • 脳動静脈奇形
  • 硬膜動静脈瘻

ところでハイブリッド手術室って?

鎌ケ谷総合病院では心臓や脳の血管撮影などに対応した高性能の透視装置ARTIS icono D-Spin(Siemens Healthineers )を新たに導入し、清浄な環境と無影灯照明など手術室の機能に加え、カテーテル検査・治療の機能を併せ持つ『ハイブリッド手術室』を2021年9月より運用開始しました。

新たに導入したARTIS icono D-Spin(Siemens Healthineers )

現在は心臓血管外科による「大動脈ステントグラフト内挿術」や、脳神経外科・脳血管内治療センターによる「脳梗塞や脳動脈瘤の血管内治療」といった、高度な治療をより安全に行うことが可能になりました。特に脳血管内治療においては「フローダイバーターシステム」という脳動脈瘤の新しい治療を開始。フローダイバーター治療とは、ステントという密に編み込まれた金属の筒を脳動脈瘤の親血管に留置する治療方法です。ステントを留置することで脳動脈瘤への血流を減少させて血栓化を促し、同時に脳動脈瘤のネック部分での内膜形成を促して血管を修復することで、脳動脈瘤の治療を行います。

フローダイバーターシステムで使用するステント。これを脳の血管内に留置して脳動脈瘤を治療する。コイル塞栓術や外科手術など、従来の方法では治療困難だった症例に対する新たな選択肢に。(提供:日本メドトロニック)
患部にステントを留置したところ。※緑の部分がステント

 

心臓血管外科領域の治療でも大活躍

心臓血管外科が行う大動脈瘤や大動脈解離の手術でもハイブリッド手術室は活躍。弱くなった血管を人工血管付きのステント(ステントグラフト)によって、血管の内側から補強する「ステントグラフト内挿術(EVER/TEVER)」や、患部の血管を外科的に切除して人工の血管に繋ぎ替える「人工血管置換術」などで活用しています。