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認定看護ニュース3号 解熱鎮痛剤の違いを解説!

2022.11.26

皆さんは診療看護師をご存じでしょうか?診療看護師は医師の指示の下で一般看護師よりも広い範囲の医療行為を行う専門資格を持った看護師です。

診療看護師はNP(Nurse Practitioner)とも言い、テレビ朝日系の人気テレビドラマ「ザ・トラベルナース」の主人公である那須田歩もこの資格を武器に活躍していますね。当院においても診療看護師は各所で大活躍しており、今や病院にとってなくはならない存在なのです!

今回はそんな診療看護師が、解熱鎮痛剤「アセトアミノフェン」「非ステロイド性抗炎症薬」の違いについて解説します。

 

~アセトアミノフェンと非ステロイド性抗炎症薬の違い~

日本各地での新型コロナ感染第7波(オミクロン株BA.5)の高止まりが続いていた中で、解熱鎮痛薬である「アセトアミノフェン」が品薄となったことも話題となりました。今回の第7波は、軽症患者が多く、入院できずに自宅などで療養する人が多いことも特徴の1つです。

2022年7月29日、厚生労働省医政局は日本病院会宛に事務連絡「アセトアミノフェン製剤の安定供給について」を発表。買い込みは控えること、アセトアミノフェン以外の解熱鎮痛薬の使用も考慮してほしいことを呼びかけました。

2022年8月2日には、日本感染症学会、日本救急医学会、日本プライマリ・ケア連合学会、日本臨床救急医学会の4学会は、新型コロナウイルス感染の疑いがある場合も症状が軽い場合は医療機関を受診せず自宅療養を続けるよう、国民への声明を発表しました。

オミクロン株への曝露後は平均3日で急性期症状(発熱、喉の痛み、鼻水、咳、全身のだるさ)が出現し、2~4日で軽快します。しかしながら、症状が重い、37.5℃以上の発熱が4日以上続く、65歳以上、基礎疾患がある、妊娠中などの条件に当てはまらない場合は市販薬(アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬)や市販の医療用抗原検査キットを使いながら自宅療養を続けることを求めています。そこで今回は、発熱や幅広い痛みの症状に対して効果を発揮する解熱鎮痛剤について各成分の特徴と、目的別に選ぶ際のポイントを解説します。

 

解熱鎮痛剤とは

解熱鎮痛剤は発熱や頭痛などの痛みを一時的に抑える対症療法の薬です。

発熱、悪寒(発熱によるさむけ)

痛み

頭痛、歯痛、抜歯後の痛み、のどの痛み、耳痛、関節痛、

神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり痛、 打撲痛、骨折痛、

ねんざに伴う痛み、生理痛(月経痛)など

 

解熱鎮痛薬の目的と作用

アセトアミノフェン

<作用>非ピリン系解熱鎮痛薬。脳の中枢神経や体温調節中枢に作用することで、解熱鎮痛効果を示す。

<副作用>発疹や嘔吐や食欲不振、肝機能障害

 

非ステロイド性抗炎症薬

<作用>「痛み、炎症、発熱」などを引き起こす物質(プロスタグランジン)を抑えることによって、解熱・鎮痛作用に加えて抗炎症作用を示す。

<副作用>胃腸障害、腎機能障害・喘息

 

どのように鎮痛剤を選ぶか

子供の服用について

生後1か月~6歳の小さなお子さんの場合、発熱時に使う解熱剤としてはアセトアミノフェンを使用し、アスピリンやイブプロフェンを含む市販薬は使わないようにしましょう。熱があっても元気な場合や、38℃未満の場合は解熱剤の使用は控えます。

また、生後3か月未満で38℃以上の熱がある場合や、生後3か月以上の子供でも元気がなくぐったりしている、尿が出ない、水分摂取を嫌がるなどの症状が見られる場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。

 

妊婦・授乳中の服用について

妊娠中の人が解熱鎮痛剤を使用する場合には、胎児の動脈管に影響を与える可能性があるためNSAIDsには注意が必要とされています。

妊娠中またはその可能性がある場合にはアセトアミノフェンが使用できますが、カロナールの添付文書には次のように記載があります。

◆妊婦又は妊娠している可能性のある女性:治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること

◆授乳婦:治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討。

日本産婦人科学会からも「アセトアミノフェンは内服して頂いて問題ない」と発表されていますが、まずは主治医に相談をしましょう。

 

新型コロナウイルスに対するワクチンの副反応

熱や痛みについては、日本で接種可能な2種類のワクチンにおいて、50%以上の人に頭痛、10~50%の人に発熱などの副反応が報告されています。また、発熱や頭痛などは1回目よりも2回目の接種後の方が現れる頻度が高い傾向のようです。
副反応はほとんどの場合、接種翌日をピークに数日以内に回復するとされていますが、症状が気になる場合には、発熱や痛みに対してアセトアミノフェンや、イブプロフェン・ロキソプロフェンなどのNSAIDsといった市販の解熱鎮痛剤で対応することも可能です。

 

(出典)厚生労働省:ワクチンを受けた後の発熱や痛みに対し、市販の解熱鎮痛薬を飲んでもよいですか。(『新型コロナワクチンQ&A』)

https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0007.html