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認定看護ニュース4号 なぜ誤嚥性肺炎になるのか

2022.12.13

肺炎は高齢化に比例して増加しており、高齢になるほど死亡率も高くなります。

年間約13万人の方が肺炎(誤嚥性肺炎を含む)でお亡くなりになっているのが現状です。その殆どに不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)という「むせ」が生じにくい誤嚥が起こっていると言われています。

 

誤嚥がおこるメカニズム

人間の機能には、気管に食べ物や細菌が入り混まない防御機構が存在します。その一つが、「むせ」です。何か異物が入り込んできた場合、人間は大きくせき込み、それを咳で出そうとする「むせ」が生じます。しかし、この「むせ」がうまくできず、誤って気管に侵入することで誤嚥が生じます。

「むせ」が生じにくい理由は「むせ」が起こるには、体では、神経伝達物質が多量に分泌され、それがある一定の量を超えると神経に働きかけて「むせ」という動きにつながります。その神経伝達物質を「サブスタンスP」と言います。「サブスタンスP」は、正常に食べ物を飲み込む時にも作用します。

通常はのどや気管の神経の中に蓄えられていますが、この物質が低下すると嚥下や咳の反射が鈍くなるというわけです。「サブスタンスP」の低下は、パーキンソン病や脳血管性疾患、認知症などによって起こります。

この物質が低下すると、嚥下や「むせ」の反射が正常に行われなくなり、気づかぬうちに口の中の雑菌を含んだ唾液などを気管に誤嚥する「不顕性誤嚥」となっているのです。これが毎日繰り返し起こることで、誤嚥性肺炎を発症するようになります。

 

予防と改善を考えよう

不顕性誤嚥を予防するためには、普段から歯磨き、うがいなどお口のケアが重要です。就寝前にお口をきれいに保つことで、もし「むせ」が生じない状況でも誤って侵入した細菌などの異物を最小限に減らせることが出来ます。お口のケアは食事の後でも必ず行いましょう。常にきれいに保つことで効果が高まります。