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カマガヤジンWEB版 リニューアル創刊号(2023年4月12日)公開中

2023.04.12

発行日:2023年4月12日

 

 

P2 新任医師紹介

皆さんはじめまして、内科顧問として着任した山口昌司です。

私は昭和55年に卒業しました。国試も終わり、のんびりしていると、忘れもしない3月3日、命により返還間もない沖縄の地を踏みました。当時、沖縄南部徳洲会病院は医療法人徳洲会では5番目の病院で、前途洋洋、徳田虎雄理事長の救命救急・へき地離島・先進医療の整備を掲げ、日本の医療を変える!という希望に燃えていたことを覚えています。 徳洲会では、病院の開設に関わったり、選挙に出たり、いろいろと経験させてもらいましたが、つい最近まで鹿児島県の沖永良部島で離島医療を実践していました。

40年ぶりの関東です。鎌ケ谷の地を踏んでまだ日が浅く、手探りの日々ではありますが、少しでも患者さんに安心を与えられる存在になれるよう努めてまいります。

 

P3 名医の格言

医師は単に科学者ではありません。

常に精神のふれあいで、本当の人格者でなければなりません

吉岡 彌生  東京女子医科大学創立者 医師

女性の社会的地位向上を目指す

 明治時代初期はまだ女性の立場が弱い時代でした。正義感が強く、勤勉で活発だった吉岡彌生は、小学校卒業後は一般的な女性と同様、裁縫や機織りなどの家事労働に従事することを求められます。そんな女性の置かれた立場に納得できずにいたある日「医術開業試験に2人の女性が合格し、医師として正式に認められた」という新聞記事を見つけます。「医師になる」という決意を固めた彌生は反対する父を2年がかりで説得し、兄が在学する医学校「済生学舎」に入学します。ところが、待っていたのは男子学生たちからの女性差別的な嫌がらせや心ない言葉でした。しかし彌生は辛い思いをしながらも勉学にひたすら打ち込み、入学後3年で医術開業試験後期試験に合格します。晴れて念願の開業医となった彌生は、母校が女性の入学を禁止したことをきっかけに奮起。日本初の女性医師のための養成機関を創立します。女性の社会的地位を向上させたいという強い思いから、その年のうちに実現するという偉業を成し遂げました。

「至誠一貫」な精神

 医師は科学的に考えることが要求されますが、患者さんという人間相手の職業でもあります。適切な治療を行うためには患者さんやご家族に寄り添い、信頼されることが欠かせません。また、医師には医療を通じて地域住民の健康を守り、社会の発展に尽くすという社会的役割も求められます。彌生は女性の社会的地位を向上させるため、社会活動にも熱心に取り組みました。 冒頭の言葉には、どんなときも差別のない社会に向けて行動した、至誠一貫な精神が凝縮されているようです。

 

吉岡 彌生〜

1871(明治4)年429日(旧暦310日)、現在の静岡県掛川市に漢方医の二女として生まれる。医師を目指して上京し、東京の医学校では唯一、女性に門戸を開いていた済生学舎(現:日本医科大学)で学ぶ。1892(明治25)年に医術開業試験後期試験に合格、日本で27人目の女性医師となる。1900(明治33)年、日本初の女性医師養成機関として東京女子医科大学の前身である東京女医学校を創立。東京女医学校校長、東京女子医科大学学頭などを歴任し、医学の教育・研究の振興に尽力した。

 

P4-5 知っておきたい病気のはなし

クモ膜下出血

脳動脈瘤の破裂が原因で発症。「警告頭痛」に要注意。

鎌ケ谷総合病院 脳神経外科部長 氏家 弘

 

脳梗塞に脳出血に脳腫瘍。脳の疾患は治療が遅れると日常生活に影を落とす可能性が高いため、早期発見と治療がとても大切です。

今回は脳神経外科の氏家弘先生に、くも膜下出血について聞きました。

 

若くても発症する可能性があります

 くも膜下出血の起きる頻度は脳血管障害の中では10%程度と少ないものの、他の脳血管障害とは異なり若い人にも発症し、さらに死亡率が50%以上と高いためとても怖がられています。 くも膜下出血の主な原因は脳動脈瘤の破裂で、ここが高血圧性脳出血とは異なる点です。高血圧性脳出血では動脈径が1㎜以下の細い血管が破裂しますが、細い血管の圧は低いため死亡率は高くはありません。脳動脈瘤がなければ、くも膜下出血は起きないといっても過言ではありませんが、言い方を変えるならば脳血管障害の危険因子がなくても、脳動脈瘤さえあれば若くてもくも膜下出血を発症する可能性があるわけです。

前触れ症状の「警告頭痛」にも要注意

 くも膜下出血の典型的な症状としては「今まで経験したことがない突然の激しい頭痛」が挙げられますが、くも膜下出血を生き延びた患者さんに問診してみると、半数近い方にいつもとは違った頭痛がみられます。この頭痛は、これからくも膜下出血を起こすぞという警告症状で、脳動脈瘤が破裂する前に脳動脈瘤からわずかに血液が漏れた状態と考えられています。 もし「経験したことのない突然の激しい頭痛」や「いつもと違う頭痛」を感じたら、症状が消えたとしても念のため脳神経外科を受診することをお勧めします。

切らずに治す「 脳血管内治療も選択肢に

 脳ドックで脳動脈瘤の有無を調べておくことはとても大切です。破裂する前に脳動脈瘤を見つけて治療するという考え方です。実際、脳ドックでは約2%の方に脳動脈瘤が見つかりますが、脳動脈瘤が破裂する確率は年間1%以下とされています。 破裂率が低いとはいえ、いざ治療が必要だと診断されると手術のリスクや入院期間などで悩む方もいると思いますが、最近では血管内から脳動脈瘤の治療を行う「脳血管内治療」という、従来の開頭術よりも身体的負担の軽減や入院期間の短縮が期待できる治療方法も選択肢としてあることを覚えておきましょう。

当院でも脳血管内治療を行っており、MRIで脳動脈瘤の部位、大きさ、形、動脈瘤壁の脆さを判定した上で、患者さんの状態に合った治療方法を選択しています。 すでに脳ドックや各種検診、診察で

脳動脈瘤の存在や、専門医の受診を勧められている方、いつもと違う頭痛を感じた方は当院の脳神経外科や、脳血管内治療センター(兵頭明夫先生/予約制)の受診を検討されてはいかがでしょうか。

 

ハイブリッド手術室

脳血管内治療を行うハイブリッド手術室。高精度・高画質の血管撮影装置と手術台が一体化した装置を活用して治療を行っています。

 

P6 栄養科の健康レシピ エイヨウゴハン

豚肉とニンニクおろし炒め

寒い冬から春へ…季節の変わり目は意外と身体に負担がかかり、体調を崩しがちです。そんな時は疲労回復に最適な豚肉とニンニクで作る「おろし炒め」がおすすめです。

豚肉とニンニクは疲労回復に最適な組み合わせのひとつです。豚肉に多く含まれるビタミンB1は糖質のエネルギー変換に欠かせない栄要素で、不足するとエネルギー代謝がうまくいかず倦怠(けんたい)感を引き起こすことも。季節は違いますが、土用の丑の日に食べるウナギにもビタミンB1がたくさん入っています。昔の人は、栄養素の概念が誕生する前から、元気が出る食材をよく知っていたのですね。そのビタミンB1の吸収を助けるのが、ニンニクの香りのもとであるアリシン。今回紹介する「豚肉とニンニクおろし炒め」は、この2つの栄養素を一度に取れるスペシャルメニューなのです。 大根おろし、キノコ、モヤシはどれも低カロリーでさっぱりした味わい。大根には消化を助ける酵素が含まれており、胃腸の調子を整えてくれます。おろし汁ごと一緒に煮込むと香りが豊かになり、食欲をそそりますよ。また、肉は炒める前に少量の水と酒に30分ほど浸しておくのがコツ。このひと手間で肉がぐっと軟らかくなります。この料理は牛肉で作ってもおいしいので、試してみてください。

材料(1 人分)
  • 豚肉 80g 
  • エノキ 20
  • シメジ 10
  • シイタケ 1
  • 舞茸 20
  • モヤシ 30
  • 大根おろし25
  • しょうゆ 大さじ1/2
  • 日本酒 大さじ1/2
  • 顆粒だし 小さじ1
  • おろしニンニク 適量
  • サラダ油 適量
  • 万能ネギ 適量
 調理手順
  1. フライパンに油を薄く引き、豚肉とおろしニンニクを中火で軽く炒める。
  2. 肉にある程度火が通ったらキノコ類とモヤシ、大根おろし、しょうゆ、日本酒、顆粒だしを入れて炒め煮にする。
  3. 火が通ったら万能ネギを散らして、でき上がり。

 

 

P6 上手な病院の使い方

そういえば「 紹介状」って何だろう?

「紹介状はありますか?」「紹介状を書いておきますね」。医療機関で日常的に見られる場面ですが、紹介状って何なのでしょう?  正しくは「診療情報提供書」といい、他の医療機関に治療を引き継いだり、検査を依頼したりするために必要な情報を記した大切な書類です。紹介状には患者さんの病名や治療経過、お薬の情報など、診療を行う上で必須となる情報が詰まっているため、封をした状態で渡されます。

「自分のことなんだから開けてもいいでしょ!」と思うかもしれませんが、紹介状は紹介元の医師が紹介先の医師に宛てたものです。そして治療に関わる重要な情報が記されているため、それらの改ざんや破損による医療事故、不正を防ぐためにも、開封しないで紹介先医療機関に提出する必要があるのです。

 

P7 病院からのお知らせ

厚生労働省は、20233 13日以降のマスク着用について「個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることになります」という指針を発表しました。ただし「医療機関を受診する時」「高齢者など重症化リスクの高い方が多く入院・生活する医療機関や高齢者施設などへ訪問する時」はマスク着用が効果的であるとしており、同省が発行する啓発ポスターにおいても「受診時や医療機関・高齢者施設などを訪問する時はマスクを着用しましょう」と明示しています。 以上を踏まえ、当院においても引き続き来院時のマスク着用の徹底をお願いしています。さまざまなご意見があると存じますが、患者さんの生命を守ることを使命とする当院においては必要不可欠な措置であることをご理解くださいますよう、お願い申し上げます。

出典:厚生労働省「マスクの着用について」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00001.html

 

P7 COVERSTORY〜表紙のおはなし〜

これまで不定期発行だった広報誌『KAMAGAYA MEDI BOX(カマガヤ メディボックス)』を、季刊『カマガヤジン(KAMAGAYAzine)』としてリニューアルしました。リニューアル第1号の表紙は、当院の頼れるリーダー、堀隆樹院長です。

堀院長が着任したのは、新型コロナウイルス感染症の最初の緊急事態宣言が発出される直前の2020年4月。着任早々から対コロナに追われる過酷な状況でしたが「職員(family)の安心・安全は患者さんの安心・安全に帰結する」「思いやりの心が皆を守る」この2つを掲げてコロナ禍とアフターコロナ対策に取り組み、救急患者さんの受け入れ動線確保とハイブリッド手術室やトモセラピーの導入を果たしました。

そんな院長の出身は香川県の豊島という瀬戸内海に浮かぶ人口約1700人(当時)の小さな島。幼少の頃から島唯一の診療所の医師に「この診療所は将来、タカキ君にやってもらおう」と言われていたことがきっかけで医学部を目指したそうです。

専門は心臓血管外科で、同科の川谷心臓血管外科部長と共に、大動脈瘤や大動脈解離に対してカテーテルを用いて血管の内側から患部を補強するステントグラフト内挿術(EVARTEVAR)や、傷んだ血管を人工血管に置き換える人工血管置換術などの治療を手がけています。

そうそう、テレビドラマなどでは立派なイスにでーんと座る「院長」が描かれがちですが…鎌ケ谷総合病院では外来、病棟、手術室、会議室を忙しく駆け回る「院長」を見ることができますよ。