4.しゃっくりの発生メカニズム
4【しゃっくりの発生メカニズム】
しゃっくりは脳内で発生します。横隔膜ではありません。 唐突な結論となりましたので、詳しく順を追って説明しましょう。
第1章で触れた「本当にしゃっくりが活躍している場面」に戻りましょう。つまり、食道の狭い部分に食べ物が引っかかった時に、勝手に始まるしゃっくりについて考えてみましょう。
その前に予備知識として「しゃっくり中枢」と呼ばれるものが脳内にあることを覚えておいてください。もう少し詳しく言うと、その中枢は延髄の孤束核(こそくかく)と呼ばれる部位付近にあると考えられています。但し、その正確な位置は未だにはっきりとは分かっていません。ともあれ「しゃっくりをしなさい!」と命令を出す部分が脳(特に延髄)にある、ということがポイントです。
食道に食べ物が引っかかると、食道から脳に情報伝達されます。「食道に何かが詰まって、渋滞が起きています!」という緊急事態を知らせる情報です。その情報を受け取った脳は、直ちにしゃっくりを出す命令を出します。その命令とは「①一旦、呼吸を止めなさい!」「②横隔膜を一気に動かして陰圧を作り、食べ物を胃まで吸い込みなさい!」という2つの命令です。するとその命令は各部署に届けられます。
- ①の命令を受け取るのは「声帯」です。声帯は直ちに閉じて、空気の流れを止めます。
- ②の命令を受け取るのは「横隔膜」です。瞬間的に一気に横隔膜を収縮させ、強い陰圧を作ります。
①と②が同時に行われると、あのしゃっくりが起こります。急に呼吸が止まるし、お腹が痛いくらいに横隔膜が動きます。しかし横隔膜が作り出す大きな陰圧で、何とか食べ物を動かそうとしているのですね。これが「実際に役立っているしゃっくり」のメカニズムなのです。
まとめると、
- しゃっくりが始まるきっかけは食道にある
- 食道からの情報が脳に伝えられると、延髄がしゃっくりを出すように命令を出す
- その結果、しゃっくりが起こる
ということです。
この①食道→②脳→③しゃっくり の情報伝達を覚えておいてください。
基本的に、ほとんどのしゃっくりがこの順序で発生します。
[コラム] しゃっくり発生経路の発見 世界で初めてしゃっくりを人工的に発生させる事に成功したのは日本人研究者です。ネコの喉を刺激するとしゃっくりが発生する事を発見しました。その結果、しゃっくりが発生する情報伝達経路が判明したのです。またしゃっくりを発生させる震源地である「しゃっくり中枢」が延髄に存在する事も分かったのです。