整形外科・リウマチ科Orthopaedic

股関節疾患~股関節の痛み、違和感の原因は~

股関節疾患の治療目標は股関節をできるだけ正常の形態、機能に戻すことです。

股関節疾患の中には股関節周囲炎や一過性大腿骨頭萎縮症など安静や投薬、リハビリテーションなどの治療でほぼ正常の状態に回復する疾患もありますが、日本人女性に多い臼蓋形成不全に続発する変形性関節症をはじめ、大腿骨頭壊死症や関節リウマチなどの疾患では手術治療を要することも少なくありません。また最近では高齢化の影響で加齢に伴い軟骨がすり減ったり、骨粗鬆症で骨がつぶれたりすることによって手術が必要になる症例も増加しています。主な股関節疾患には以下のようなものがあります。

変形性股関節症

関節軟骨がすり減ってなくなり、大腿骨頭や臼蓋の骨が変形してくるものです。他に明らかな原因がなく生じる原発性(一次性)変形性関節症 と、以下に述べる様々な病因により大腿骨頭や臼蓋の骨の形が崩れ、軟骨や骨の一部に不自然な力がかかった結果として生じる続発性(二次性)変形性関節症があります。

先天性股関節脱臼/臼蓋形成不全

股関節の臼蓋が先天性に浅く、関節が深くはまり込んでいないものです。臼蓋が生まれつき浅い場合や、乳児期の足の動きを妨げた結果として生じます。

臼蓋が極端に浅いと、骨頭が臼蓋にはまりきらずに脱臼となります。一方、関節が浅いだけで脱臼していない場合でも、関節の接触面積が少ないために狭い面積に体重が集中するので、軟骨が摩耗しやすく変形性股関節症の原因となります。

大腿骨頭壊死症

大腿骨頭の一部が壊死して、骨頭が陥没して変形するものです。進行すると骨頭の変形が著明となり、変形性関節症の原因になります。

ステロイド薬を大量に内服した場合や、大量の飲酒が原因と考えられています。

股関節疾患の治療

変形性膝関節症と同様に、保存療法(手術を行わず、痛みを緩和する方法)と手術療法があります。

膝関節はかなり変形が進んだものでも比較的保存療法が有効な場合も見られますが、股関節は変形の度合いと痛みの度合いが平行することが多いようです。手術は、骨盤や大腿骨の骨を切って関節の接触部分や力のかかり方を変える骨切り術と、関節を人工物に入れ替える人工股関節置換術があります。
(人工関節置換術の章を参考)